平成19年度税制改正大綱。

 さて、出ました税制改正大綱(http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2006/pdf/seisaku-030a.pdf)。64ページにもわたる代物ですが、個人の所得税、住民税に関係するものをピックアップしてみると、次の通りでしょうか。

減価償却制度

  • 残存価額の廃止

 平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産について、残存価額を廃止する。

  • 償却可能限度額の廃止

 償却可能限度額を廃止する。
(1)平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産について、耐用年数経過時点に1円まで償却出来ることとする。
(2)平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産については、償却可能限度額(取得価額の95%)まで償却した事業年度等の翌事業年度以後5年間で均等償却出来ることとする。

金融・証券税制

  • 上場株式の配当等に係る軽減税率(所得税7%、住民税3%)の特例及び上場株式等に係る譲渡所得等の軽減税率(所得税7%、住民税3%)の特例の適用期限を1年延長する。

住宅税制

  • 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額の特例の創設

 住宅の取得等をして平成19年または平成20年に居住の用に供した場合について、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額の特例を創設する。この特例は、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除との選択適用とし、控除期間、住宅借入金等の年末残高の限度額及び控除率については、次の通りとする。


 平成19年→控除期間15年、住宅借入金等の年末残高限度額2,500万円、1年目から10年目まで控除率0.6%、11年目から15年目まで控除率0.4%
 平成20年→控除期間同上、住宅借入金等の年末残高限度額2,000万円、1年目から10年目まで控除率同上 、11年目から15年目まで控除率同上

  • 住宅のバリアフリー改修工事等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額の特例の創設

 一定の居住者が、その者の居住の用に供する家屋について一定のバリアフリー改修工事を含む増改築等を行った場合において、当該家屋を平成19年4月1日から平成20年12月31日までの間にその者の居住の用に供したときは、一定の要件の下で、そのバリアフリー改修工事等に充てるために借り入れた住宅借入金等の年末残高の一定割合を所得税の額から控除する。この特例は、住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除との選択適用とし、控除期間、住宅借入金等の年末残高の限度額及び控除率については、次の通りとする。


 控除期間5年、住宅借入金等の年末残高限度額1,000万円、一定のバリアフリー改修工事に係る工事費用相当部分(限度200万円)の控除率2%、それ以外の工事費用相当部分の控除率1%

  • 特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例について、買換資産である家屋の床面積用件の上限(現行280㎡)を撤廃したうえ、その適用期限を3年延長する。(平成19年4月1日以後適用)
  • 相続等により取得した居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例を廃止する。(平成19年4月1日以後適用)
  • 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を3年延長する。
  • 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を3年延長する。

円滑、適正な納税のための環境整備

 電子証明書を取得した個人が、平成19年分または平成20年分の所得税の納税申告書の提出を、その者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書を付して各年の翌年の3月15日までに電子情報処理組織を使用して行う場合には、一定の要件の下、その者のその年分の所得税の額から5,000円(その年分の所得税の額を限度とする。)を控除する。なお、平成19年分に本税額控除の適用を受けた者は、平成20年分においてはその適用は受けることはできないこととする。

  • 電子申告における第三者作成書類の添付省略

 所得税の納税申告書の提出を電子情報処理組織を使用して行う際に、次に掲げる第三者作成書類の記載事項を入力して送信することにより、送付等の方法による当該書類の添付を省略することが出来ることとする。この場合において、税務署長は原則として確定申告期限から3年間、その内容の確認のために当該書類の提出を求めることが出来ることとする。
・医療費の領収書、社会保険料控除の証明書、小規模企業共済等掛金控除の証明書、生命保険料控除の証明書、地震保険料控除の証明書、給与所得・退職所得・公的年金等の源泉徴収票、特定口座年間取引報告書

  • 国税の納付手続について、国税を納付しようとする者が一定の納付書に基づき納付しようとする場合には、国税庁長官が指定する納付受託者に納付を委託することが出来ることとする。

農林漁業対策

  • 山林所得に係る森林計画特別控除の適用期限を2年延長する。

その他の政策税制

  • 再チャレンジ支援寄附金税制の創設

 個人が、次世代育成支援対策に取り組む会社等に対する助成事業など認定地域再生計画に記載された一定の事業で認定地方公共団体が指定する公益法人により行われるものに関連する寄附金(当該認定地域再生計画に定められた地域内に、寄附者及び公益法人の本店、支店、工場、営業所、事務所等が所在するものに限る。)を支出した場合には、当該寄附金は所得税法の特定寄附金と見なして寄附金控除の適用を認める。

その他

  • 寄付金控除の控除対象限度額を総所得金額等の40%(現行30%)に引き上げる。

 ・・・とまぁ、こんな感じでしょうか。まぁ、前回の税制改正があまりに大規模だったので、今回は小粒ですね。でも、その前回の税制改正分が本格的に適用されるのが来年からなので、これからが大変ですよ〜。定率減税の廃止とか。