2006年度税制改正大綱を語る。(その3)
これ、移行措置とはいえ、今回の個人所得課税改正の中でも一番ややこしい規定なんじゃないかと思っていますが。
えっと、私も良く理解しているわけではないのですが、所得税と住民税の課税タイミングの違いに起因するものと思われます。例えば・・・(給与所得者の場合で考えます)
17年中(1月〜12月)の給与に対する課税は・・・
→所得税の場合:17年1月〜12月で源泉徴収。12月に年末調整して精算。
→住民税の場合:18年6月〜19年5月(18年度)で源泉徴収(本当は「特別徴収」と言いますが)。
というように、ある月にお給料から引かれる住民税は、その月の給料を元にして計算した金額じゃないということです。
あともう1つは、所得税と住民税というのは、収入があれば必ず両方かかるというものではなくて、条件によって片方だけかかるという場合もありえます。
これを前提にして、改正内容に戻りますが、
「平成19年度分の個人住民税に係る課税所得金額の合計額から所得税と個人住民税の人的控除額の差の合計額を控除した金額がある」=「18年中の所得に対して、18年分の所得税がかかり、19年度の住民税もかかる」
「平成20年度分の個人住民税に係る課税所得金額の合計額から人的控除額の差の合計額を控除した金額がない」=「19年中の所得に対して、19年分の所得税はかからないけど、20年度の住民税はかかる」
と解釈できます。
で、そもそも今回の税制改正がいつから適用になるかといえば、所得税の減税が「平成19年分以後」、住民税の増税が「平成19年度分以後」。この違い、分かります? 税金を引かれるタイミングから言えばほぼ同時ですが、「いつの収入に税金がかかるか」という視点で見ると、住民税は18年分の所得に対する税金から増税になることになります。
・・・もう訳分かんないですが、要するにこの項目は「19年中に払う税金(所得税と住民税)に対して、所得税の減税の恩恵を受けずに、住民税の増税だけもろにかぶる」というケースを想定しているものと思われます。税源移譲の前提として「住民税上がる分と同じ分だけ所得税下がる」というのが建前なので、これはいかん、という風になるわけですね。なので、こういう人に関しては「19年度の住民税は増税しません」ということになるようです。ただ、住民税的には19年中の所得は20年度にならないと確定しないので、どうしてもさかのぼり処理になってしまうところがややこしいところです。
なんなんだこの規定は(大泣)。本当に対応できるのか・・・。